健康増進科学とは、私たちの健康を維持・増進する為の、
科学的根拠に基づいた、理論と方法について研究する学問分野です。
先日、金沢大学医薬保健研究域附属健康増進科学センターが出張した金沢市立北鳴中学校で行われた「体力テスト 〜体の筋力バランスを知ろう〜」の結果がまとまりましたので報告します。生徒の皆さん(参加者:男子50名、女子24名)の1.握力、2.足指力、3.ピンチ力、4.股関節屈曲筋力の測定を実施した結果を下記に示しました(箱ひげ図参照*)。男子は上級生になるにつれて各筋力が向上していることが中央値より確認できました。股関節屈曲筋力に関しては、学年内にてデータにばらつきがみられましたが、その理由は各学年で所属している部活動に違いがあったためと考えています。女子の結果については、男子と比較し参加者人数が少なかったため、データにばらつきがみられました。よって、男子の結果のように学年があがるにつれて筋力が向上するような結果が握力、股関節屈曲筋力のデータからは得られませんでした。股関節屈曲筋力に関しては、2年生の中央値が3年生と比較し高かった理由として、2年生7名のうち2名が45kg以上の値であり、はずれ値の影響が大きかったためと考えています。
握力、ピンチ力はものをつかむ力、足趾力や股関節屈曲筋力は歩行時にしっかりと足を挙上するために必要な筋力です。いずれの筋力も、生活を営む上で重要な筋力になります。成長期の真っ只中にある中学生は、からだ作りの大切な時期にあります。健康増進のためにも積極的に運動に励んでいただきたいと思います。
*箱ひげ図とは
箱ひげ図(図1)とは、多くの測定値の分布の中心や分布の対称性を知ることができ、1.どんな人たちがいる?2.自分は何番目ぐらい?3.他のグループと同じ?等を知るのにとても便利なものです。