「女性の健康支援プロジェクト」の目指すものは、若年期女性から老年期女性に至るまで、保健学で女性の一生の健康を支援することです。女性が若年期に健康を維持することは将来、健やかな妊娠・出産を迎えるためにとても重要なことです。また妊娠中の女性が自分の健康を考えることは子供の健康や家族の健康にもつながります。現在、「看護科学領域」、「医療科学領域」の研究者がチームを組んで研究を行っています。
看護科学領域(助産学分野)と医療科学領域(病態検査学講座)の研究としては、女性の冷え症の評価方法や有効なセルフケア方法の検証について深部体温計や赤外線サーモグラフィを用いて客観的評価を行っています。近年、不妊症は5.5組に1組といわれており珍しいものではなくなっていますが、不妊症の原因の一つとして冷え症が指摘されています。自覚しない冷え症も存在するため、客観的かつ簡易的に冷え症を評価できる方法と有効なセルフケアの提言を目指し、研究に取り組んでいます(図1参照)。
また、看護科学領域(助産学分野)と医療科学領域(量子医療技術学講座および病態検査学講座)の研究としては、助産師が行うケアでオキシトシンの変動があるかを検証するため、オキシトシンのアッセイ法について検討しています。分娩進行と関連があるオキシトシンは体内に微量に存在していますが、その測定方法は様々であり、定量化にむけてRIA(放射免疫測定法)やELISA(酵素免疫測定法)などの高感度で定量性に優れた測定法を用いて、分娩の進行を定量的にモニタリングすることを試みることを計画しています。そのことにより、助産師のケアの効果を客観的に評価したいと考えています。
以上のような看護師や助産師が「臨床で経験する現象」や「女性の健康支援」を定量的に評価し、エビデンスとして確立するために、保健学に関わる他職種がそれぞれの専門性を発揮して、画像解析や生体試料の分析を行っています。異なる専門分野をもつ研究者がチームを組むことで、テーマに対するアプローチ法が多角的になるのみならず、各研究者がそれぞれの分野に新たな知見を持ち帰ることができるのが本プロジェクトの強みといえます。
川井 惠一(プロジェクトリーダー/(量子医療技術学講座 教授)
鏡 真美(健康発達看護学講座・准教授)(助産師)
關谷 暁子(病態検査学講座 助教)(臨床検査技師)
根本 鉄 (金沢大学非常勤講師)
淵 紀子 (健康発達看護学講座・教授)(助産師)
毎田 佳子 (健康発達看護学講座・教授)(医師)
小西 佳世乃(健康発達看護学講座・助教)(助産師)
南 香奈 (健康発達看護学講座・助教)(助産師)
太田 良子(健康発達看護学講座・助教)(助産師)
大貝 和裕(臨床実践看護学講座 准教授)(臨床検査技師)
小林 正和(量子医療技術学講座・准教授)(診療放射線技師)
水谷 明日香(量子医療技術学講座・助教)(診療放射線技師)
図1:足浴と足浴後の保温効果の検証